2008年12月02日

田母神論文(憲法解釈を争点にしない?)とある自衛隊合憲論(歴史認識を争点にしない?)

20081101-tamogami_tosio60a-nnn-pol.jpg田母神論文(半解だが)の特徴を一言で言えば、歴史認識はあっても憲法解釈はないということではないのか。
これまでの歴史認識は、ある逸脱行為があって敗戦し、(国家権力の縮小を核とした)憲法制定によって戦後は民主主義国家として驚異的な「復活」を遂げたというものだが、仮に、あの逸脱行為を否定するとすれば、憲法制定の意味が失われ、戦後の未曾有の経済的な「繁栄」は既定路線-ーつまり、王政復古的な「無謬」のイデオロギー?のおかげ−−といった解釈が可能になるのではなかろうか。

違憲状態にある自衛隊の存在意義について、誰しもが気になり、考えることであろうが、私自身は自衛隊法に定めるような侵略に際しての自衛のため武力の行使は控えるべきと考えている。
代わりに、日米の枠に留まらぬ国際的な安保体制を築き上げ、「世界平和」を実現するための自衛隊の活躍を推進すべきだと考えている。

この場合の国際的な平和理念とは、こうだ。

《自衛のための武力の行使、これを放棄する》

つまり、有事の際のわが自衛隊は、直ちにヒステリックに応戦・臨戦するのではなく、集団的な安全保障条約に則って、自国に向けて海外派遣を行うのである。


以下、私的な自衛隊合憲論を紹介する。


■法体系の三則

T法には、二種の体系がある。
U一つは、緩い法体系である。
V もう一つは、緊張の法体系である。

 法について語る場合、上にあるような三原則を踏まえるべきだと考えている。
「緩い」法体系とは、「憲法」を指すが、この場合の「ゆるい」意味は必ずしも明らかではない(たとえ違憲状態にあっても、その現存在の否定・抹殺はなく、「和}を尊び、受容に徹する?)。
「緊張」の法体系とは「民法」や「刑法」等をいう。両者の違いは、憲法の言葉は曖昧性(若しくは非実現性)を有するために厳格運用できないが、刑法等では用語が厳密に定義付けられたために厳格に運用できるという利点が挙げられる。そのくせ、「憲法」は最高位の国内法である。

■憲法と下位法との相互補完性

 憲法とは生まれて間もない赤子の様な無力にして厄介な存在だから、手足となる下位法を必要とする。
 憲法がそれ自体完結した法体系というのであれば、下位法の必要性はなくなるし、下位法は下位法で憲法とは別の理念に従う法となって、その存在意義について説明ができなくなるのではないか。

 と、こういう自明な考えをあえて述べたのは、九条の条文「戦争放棄」の取り扱いについて疑義を呈したくなったからである。

註)この相互補完性についてもうひとつの疑義を呈しているのが国会法だ。この法に関しても、理念の在り処が不明。


■第九条と自衛隊法のネジレた関係

 第九条と自衛隊法は、補完的な・一対の法と考えられる。しかし、条文にある言葉、特に、「その他の戦力の保持」に該当するために、憲法の精神とは相容れないものとなっている。だからといって、違憲状態即自衛隊の存在そのものの否定にはつながらないと考えている。
 第九条に盛り込まれた崇高な精神は、厳密に規定された下位法に支えられることによって、その憲法の精神は効力を発揮する。
 こういう考え方(憲法自らの持つ法的逸脱は、下位法によって回復する)が許されるならば、憲法の理念の空文化ではなく、その実効的な法としてとにもかくにも「自衛隊法」なるものをわが国は持ったといえる。
 第九条と自衛隊法の関係は、ねじれてはいるが、次のような関係式において中間的な法(点C)を仮設するだけで、両者の関係は正される。

      C
  A・−−・−−・B(A=第九条、B=自衛隊法、C=安保条約)

 上にある点は、「逸脱」を意味し、線は「回復」を意味する。ここでは、線は線的論理の意味で用いている。つまり、第九条と自衛隊法はねじれているために、直線的な論理で結び付けることはできないが、中間にある法を介在させると、両者の関係は難なく正される。中点の法とは、書くまでもなく、「日米安保条約」をいう。
 要するに、法理論の上では、何の問題も生じないのである。

 第十章の最高法規に目を通すと、憲法は国内の最高法規ではあるが、第九十八条の第二項において「日本国が締結した条約及び確立された国際法規は、これを誠実に遵守することを必要とする」とあるように、安保条約の介在によって自衛隊の存在が正当化されたといえる。ただし、安保条約のもつ意味とは、自衛隊とは国防の手段ではなく、国際紛争を解決する手段としての存在意義でしかない。

註)図式にある「中点」とは、厳密に言えば、「特異点」と解することも可。

■「戦争」の今日的意義とは?

 戦争というと、帝国主義者の「侵略戦争(他国の資源の獲得を目的とした)」を思い浮かべる人が多いかもしれないが、今日的なアメリカの参戦する戦争は、解体と再建をセツトにした戦争と考えるべきである。国際紛争の火種とはいえ、旧制度の暴力的解体は無残にして非人道的な行為だが、強制的な民主国家の立ち上げという大義を掲げている。

註)イラク戦争が仮に石油資源の安定的な確保を目的として隠し持っていたとすれば、かかる戦争の持つ帝国主義的な側面は否定できなくなる。

■自衛隊の役割とは?

 かかる戦争の意義において、自衛隊の持つ「国防の手段ではなく、国際的な紛争を解決する平和的手段としての」存在意義が活きてくる。つまり、「再建」に資する場合に限って。
したがって、再建に「資する」とは、戦後的「再建(=復興)」と解するべきであり、戦時的「再建」は両立しないと考えるべきである。

次は、田母神論文関連のニュースである。

■田母神氏、今度は核武装に言及
 田母神前航空幕僚長が今度は核武装に言及です。政府見解を否定する歴史認識を発表し解任されて1か月たちますが、1日は外国からの特派員を前に核武装についての議論の必要性を主張しました。

 「核を初めから持たないと言ったら、核抑止力は低下する。持つ意思を示すだけで、核抑止力は向上する」(田母神俊雄・前航空幕僚長)

 また、「1945年に原子爆弾を持っていて、指揮官の立場にあったらアメリカに対して使ったか」という質問に、「やられれば、やるのではないか」と答えました。

 自身の歴史認識や憲法改正など、1日も持論を展開した田母神氏ですが、外国人記者からは冷やかな反応が目立ちました。(01日22:04)[081202日2時43分更新]TBSnews

■前空幕長「誤った歴史認識正す必要がある」
 「日本は侵略される側にあって、最後まで侵略されずに残った国だったと思う」−外国特派員協会で1日、「日本が侵略国家だったというのは濡れ衣(ぬれぎぬ)だ」などと政府見解と異なる論文を発表して更迭された田母神前航空幕僚長が講演し、「誤った歴史認識を正す必要がある」などと持論を展開した。

 防衛省によると、約7000万円に上る退職金の支払いは2日が期限だが、まだ手続き中だという。[081202日2時10分更新]日テレnews24

■社説2 田母神空幕長の解任は当然(11/3) 日経ネット
 田母神(たもがみ)俊雄航空幕僚長の解任は当然である。

 自衛官が心のなかでどのような思想・信条を持とうと自由だが「日本が侵略国家だったとはぬれぎぬ」とする田母神氏の論文はウェブ上で公開されている。内容は政府見解に反する。放置すれば、政治家による軍の統制(シビリアンコントロール)に抵触する結果にもなったろう。

 田母神氏を最優秀賞にした懸賞論文を企画した企業のウェブサイトには田母神氏を空幕長であると明記している。浜田靖一防衛相が「政府の見解と大きく異なり、不適切だ」と語り、麻生太郎首相が「もし個人的に出したとしても今は立場が立場だから適切じゃない」と述べ、解任したのは、適切な判断である。

 昨年の守屋武昌前次官の汚職、海上自衛隊の一連の事件、事故など防衛省の各組織内で不祥事が続くなかで航空自衛隊だけは、最近は大きな問題が起きていなかった。内部では「空自の最大の問題は空幕長」と冗談まじりで語られていた。

 田母神氏は過去にも周囲を心配させる言動を重ねてきた。名古屋高裁がイラク派遣部隊の多国籍軍兵士輸送を違憲と判断をしたのに対し「そんなの関係ねえ」とタレントのギャグを使って反応した。東大五月祭での討論に招かれて参加し、やはり防衛省の首脳部を心配させた。

 田母神氏にすれば、今回の論文を含めてすべてが自身の信念に基づくものなのだろう。

 三自衛隊には四文字熟語を重ねてそれぞれの体質を冷やかす表現がある。陸は「用意周到・優柔不断」、海は「伝統墨守・唯我独尊」、空は「勇猛果敢・支離滅裂」がそれである。これが当たっているとすれば、田母神氏は典型的な航空自衛官だったのかもしれない。

 田母神氏は空自のエリートコースである戦闘機パイロット出身ではない。同期には「将来の空幕長・統合幕僚長」ともいわれたパイロット出身者がいたが、なぜか失速した。このために本来は適格とは思われていなかった田母神氏が選ばれた。

 守屋前次官が権勢を振るっていた時代である。防衛省史には今回の騒動も守屋時代の負の遺産と書かれるのだろうか。
posted by 9組の秋六 at 06:00| 福岡 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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